ミントリーフ・インターナショナル・プリスクール

レッジョ・エミリア教育について

第二次世界大戦終戦直後に生まれた歴史ある幼児教育理念

北イタリアの都市レッジョ・エミリアの近くにあるヴィッラ・チェッラ村の人々は、戦争で破壊された建物からレンガや石を集めたり、ドイツ軍が残した戦車を売り資金を集めたりして地域に学校を建て始めました。

地元の教員・社会心理学者だったローリス・マラグッツィ(1920~1994)はそれを見て感動し、ローマで教育心理学を学び始めます。1950年に学位を取得するとレッジョ・エミリアに戻り、学校の運営を手伝ったり新たな幼児教育施設を建てたりしました。

マラグッツィは、市当局と協働して、1963年に公立としては初となる幼児教育施設をオープンさせました。その後も公立の施設は増え、レッジョ・エミリアの保育施設は18施設に、幼児教育施節は51施設までになったそうです。これらの施設で行われている教育がレッジョ・エミリア教育と総称されているのです。

レッジョ・エミリアの基本理念
「こども一人一人の意思、個性を尊重し、伸ばす」
子供たちはそれぞれ持ち合わせた個性や能力があります。
もちろん違いも生まれますが、それらを大人たちが認めて尊重しながら感性を育てていくことが基本となります。

ローリス・マラグッツィの格言
「子どもたちの100の言葉」

子どもには 百とおりある。
子どもには 百のことば 百の手 百の考え 百の考え方 遊び方や話し方
いつでも百の 聞き方 驚き方、愛し方 歌ったり、理解するのに 百の喜び
発見するのに 百の世界 発明するのに 百の世界 夢見るのに 百の世界がある。
子どもには 百のことばがある (それからもっともっともっと)けれど九十九は奪われる。
学校や文化が 頭とからだをバラバラにする。
そして子どもにいう 手を使わずに考えなさい 頭を使わずにやりなさい
話さずに聞きなさい ふざけずに理解しなさい 愛したり驚いたりは 復活祭とクリスマスだけ。
そして子どもにいう 目の前にある世界を発見しなさい
そして百のうち 九十九を奪ってしまう。
そして子どもにいう 遊びと仕事 現実と空想 科学と想像 空と大地 道理と夢は一緒にはならない ものだと。
つまり 百なんかないという。
子どもはいう
でも、百はある。

これはレッジョ・エミリア・アプローチを考案したマラグッツィの詩です。

この詩からも子供たちに無理やり押し付ける教育ではなく、個々の個性、意思を尊重したうえで、表現力、コミュニケーション能力や探求心などを育む保育方法という事がわかります。

レッジョ・エミリアは教育カリキュラムではなく1つの哲学です。理念、事例、思考などを理解し、取り入れた保育園がその国や地域、子供、先生によってオリジナリティを出していくべきものなのです。

レッジョ・エミリアの特徴
Child-Centered 子供中心
日本では教育というと「先生から生徒に教える」という構図を思い浮かべると思いますが、レッジョ・エミリアでは先生、子供、親、全ての人が平等の立場で接しあうべきとしています。
子供を“こども”として扱うのではなく、1人の人間として接するという事が大前提にあります。従って、子供が嫌だという事に対しては、その意思を尊重し、好きな気持ちを大切にします。

もちろん、オムツなどのように、子供が嫌でもしてもらわなければならない事はあるので、その場合は子供を無理やりトイレに連れていくのではなく、自然に子どもをトイレに向かわせるように、あの手この手を使って導きます。

また、年中行事やアジェンダといった予め決められたスケジュールよりも、子供たちの感覚でプロジェクトを進行することが優先されます。つまり、だいぶのんびり・ゆったりとした進行が望ましいとされています。
レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れているところは、どこもプロジェクトは何か月も続くことが多いようです。
一方で、アメリカでレッジョを取り入れている保育園では、プロジェクトは数日から数週間でスパッと区切っていく方針を取っているところもあるようです。

Emergent Curriculum 出現性カリキュラム
これは大人が子供に対してカリキュラムを与えるのではなく、子供たちの興味に則してカリキュラムを組んでいこうという事です。
例えば、外で虫を見つけて子供たちが大喜びしている場合、「この虫はトンボだよ」と教える前に「この虫は何を食べているのかな?」「どこに住んでいるんだろう?」という質問を子供たちに投げます。
*このように質問をして子供たちに考えさせる手法をInquiry Based Learningと言います。

この質問に対して「葉っぱ!」「土!」「シャボン玉」などと答える子供もいるかもしれません。それに対して否定するのではなく「なんで?」と聞いてあげることが大切です。そうすると「羽が透明だからシャボン玉を食べていると思う。だから飛べるんだ。」というような答えに子供たちの創造力がいかに無限であるかという可能性を感じることが出来ます。

加えて、そこからどんどん発展していき「じゃあ、あとでこの虫を工作で作ってみようか。どんな材料が必要になると思う?」とアートのプロジェクトにもっていったり、サークルタイムで虫に関する本を読んだりしていくことが、レッジョ・エミリアのEmergent Curriculum(出現性カリキュラム)です。

Documentation ドキュメンテーション
レッジョ・エミリアで言うドキュメンテーションとは「保育の活動記録の見える化」のことを意味します。

子供たちがプロジェクト活動において学んだこと、結果だけでなくその過程である話し合いの内容等を写真や動画、メモなどで記録し、誰でも閲覧できるよう展示します。これによって、保育士や先生たちだけでなく子供たちもこれまでの過程を振り返ることが出来ますし、次の学びにも活かすことが出来ます。

一方では、活動内容を家族や地域の方々にも公開することで、地域との密接な保育を実現できるようになり、イタリアでもたくさん行われているように、スポットで芸術家が保育に参加してくれたり、MintLeaf International Preschoolではスポーツ選手や専門職の方々との触れ合いも行っておりますが、その活動中の子供たちがどのような行動や発言を行ったかなどを可視化する意味も含まれています。

Project プロジェクト型保育
プロジェクトは、出現性カリキュラムと並んで、実際の保育にダイレクトに関係してきます。レッジョ・エミリアの保育士や先生は、何かを試すことによって子供たちは学びを得るという信念を強く持っています。
これはレッジョ・エミリア・アプローチにとって重要なことです。小グループで話し合うことで、さらに学びはより良い方向に成長すると考えています。

出現性カリキュラムが一過性の瞬間的なカリキュラムであるのに対して、いったんプロジェクトとして成立した活動は、数か月間に渡りじっくりと時間をかけて進行されていきます。保育士や先生は、プロジェクトの立案時に子供たちがどのような学びを経験するのか、そのためにどんな質問や材料が有効であるかを事前に考えて準備しておくことが推奨されています。

レッジョ・エミリア・アプローチの可能性
未来の教育
保育者が「指導」を押し付けるのではなく、個を尊重し、自由な発想を大切にすることによって、非認知的能力を育むことが出来ます。日本の輪を重んずる精神論と礼儀作法とおもてなし精神、そこにそれぞれの個性や表現力などが備われば、世界でもトップクラスの能力を持った人間になれるのではないでしょうか。

レッジョ・エミリア・アプローチは世界中の教育者から「未来の教育の在り方の見本」と言われていますが、日本はまだほとんど定着しておりません。
世界で最も優秀な人材が集まると言われている米国のグーグル社やクリエイティブ力を必要としているディズニー社などでも社内保育園(幼稚園)にレッジョ・エミリア・アプローチを採用しております。

これからの世の中は非認知能力が高い人間が重宝される時代になっていくのは間違いないので、レッジョ・エミリアの考え方である、保育士や先生たちからの「Teaching」ではなく、子供たちが自ら学べる「Learning」環境を作っていくことが大切であると考えます。